終日暖気

    *大抵ネタバレしてとんちんかんな映画の感想など*

    ハーヴェイ・ミルク  




    『THE TIMES OF HARVEY MILK』 1984年 アメリカ

    初見。自由の国アメリカのドキュメンタリー。
    あらゆるマイノリティのために人生を捧げた行動の人、偉大な人であるミルクの言動を見ながら、あれこれ考えさせられました。
    嬉しかったのは、ミルク陣営には性的指向に関係なしに様々な女性が加わっていたのがわかったこと。11歳の可愛い女の子から70歳のおばあちゃんたちに至るまでボランティアスタッフもいたみたいだし。映画では女性は一人しか出てこなくて、実際はもっといたのじゃないのかなあと思っていたので。(なぜ男性ばかりにしたのやら)

    作中気になった、アジア系の老夫婦と彼らにビラを配るミルク側の運動員二人の穏やかなやりとり。

    「提案6号の反対運動をしています」
    「6号?嫌煙権かい?」
    「それは5号です。6号はゲイと彼らを支援する教師をクビにできるという提案です。すべての人々の人権を侵害するものなんです。どう思いますか?」
    「なんの意見もないので…ノー・コメントです」
    「チラシを読んでいただけますか?」
    「もちろんです」
    「有権者登録は?」
    「済んでますよ。これは、個人的問題ですね?」
    「そうですが…、とても気にかかります。私の友人であるゲイの教師たちも失業するんです」
    「それは気の毒だ」
    「たくさんの人々が苦しみます。一度差別を認めてしまうと同じようなことが次々と起こるでしょう。ぜひご一考を」
    「わかりました」

    (提案6号は、カーターもレーガンも反対側に回るという政治的判断をし、実際僅差で否決されてましたが、ミルクの死後80年代に入って顕著になったエイズ禍の中では、レーガンの政策は後手後手に回り、世間はエイズに罹った血友病の少年を「我々は彼を憎んでいるのではない。彼の病気を憎んでいるのだ」と言う詭弁を弄して学校から追いだすことを認めさせ、ついには一家を町そのものにいられなくするという目を疑うような現実があったという80年代を振り返るドキュメンタリーも先日見たばかりで、なんとも云えない気分…)

    上のやりとりをしている中で印象的だったのは、老夫婦の特におじいさんの表情の変化。
    最初、ゲイについてと言われてもよくわからないし…と困惑気味なのが、自分の問題として具体的に想起できたときに、ぐっと真剣なまなざしになるのだ。


    今年の6月、ロシアではどんな逆行かというようなとんでもない法に大統領が署名したそうですが。
    ワガクニもいろいろと非常に心配ですが。
    一度認めてしまうと同じようなことが…という過去が甦る予感というのは不気味で怖ろしい。
    「私たちが激怒したのは、彼が自由社会の財産だったからです」

    国家というのはマイノリティの集合体だと言ったのは、ル・カレ。
    その国家で生きる我々は、希望や精気がなければあきらめてしまう。希望のない人生は生きるに値しない。あなたが彼に希望を与えなければならない。と言ったのがミルク。
    絶望する市民でなく、やはり怒れる市民でないとダメなのね…

    category: 映画感想

    tb: --   cm: 0

    コメント

    コメントの投稿

    Secret

    プロフィール

    最新記事

    最新コメント

    月別アーカイブ

    カテゴリ