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    終日暖気

    *大抵ネタバレしてとんちんかんな映画の感想など*

    無頼漢 渇いた罪  

    無頼漢7

    『THE SHAMELESS』 2015年 韓国

    チョン・ドヨンさんにすっかりやられたので、彼女の作品を追いかけるべくNetflixで探したらこの映画が出てきた。ので早速鑑賞。
    ハングルの原題は、翻訳にかけたら「無頼漢」とのこと。初見。

    タイトルから受ける印象と、実際に見た印象は少し違っていて嬉しい1本だった。
    確かにアウトローたちの話なのだが、同時に男と女の感傷的な愛の話で、個人的にかなり好きになってしまった。
    例えば不汗党はどうにもならない愛の話だったが、無頼漢もやはりどうにもならない愛の話なのだ。どうも自分は、メロドラマなノワールものにとことん弱いらしい(^^;

    で、とにかくこの映画は、役者たちの演技がいちいち良かった。音楽も非常に良かった。
    女も男も官能的なら、街も空の色も官能的。絡みつく鋭い視線が互いの心を見極めようとさぐりあい、やがて恋情の世界に取り込まれて己を失う・・・

    無頼漢

    女や男の造形は、なんだろう・・・子供の頃TVドラマなどで見たどこか懐かしい感じ。といって、決して鮮度がないというのではない。チョン・ドヨンて、キム・ナムギルて、パク・ソンウンて、ほんまええなあ・・・と見入ってしまう。お疲れ中年3人の図らずもにじみ出る可愛げがやるせない。

    苦労を抱え込みながらも、男に尽くすことに喜びを感じ、別の男の愛も受け入れてしまう、どこまでも恋愛の人であるヘギョン。
    さまざまな男たちが彼女を利用するが、ヘギョンはしたたかな計算高い女ではなく、情の濃すぎる強い女。儚げで隙があり、激情型で尽くしたがり、しぶとくてあどけなく、毎日必死で生きている本当は最後には男たちを食らいつくすこわい人種なのだ。
    (この女をドヨンさんが見事に演じている。酔っぱらってクダを巻くシーンだけ、ドヨンさんにしては、あれ?って感じたが、他は素晴らしかった)

    そんな女と心底惚れあってしまった男たちは、みな破滅してしまう。女はそんなことは望んでいないのに、男が勝手に破滅していくといってもいい。
    男たちは、それぞれできる男なのだが。そして、女に対しある意味とても誠実なのだが。

    ジュンギルは、そもそも専務の女に惚れなければよかったのだし、女のために逆上してファンを殺さなければこんなことにはならなかった。
    不正を憎む義の刑事であるジェゴンは、女に惚れつつ辛さをはねのけて職務を全うしたまでは良かったが(女にとってはちっとも良くないが、己の刑事としての生き方だけを拠り所にしている男としてはどうしようもないのだ)、せめて彼女の環境だけでも良くして幸せに生きていってほしいと行動した結果がこれだ。このどうにもならない愛!

    無頼漢3

    どれもこれも、別に女が自分から望んだことではない。
    ヘギョンはそばに愛する男がいてくれさえすれば、どんな境遇でもどんな毎日でも生きていける。男が自分を頼ってくれればいいと思っているし、信頼に応えてなんだってしてあげたいのだ。

    ヘギョンとジュンギル、ヘギョンとヨンジュン(ジェゴン)。
    どちらにも確かに愛があって、しかもその関係は残念ながら最初から幸福とは無縁なのが悲しい。
    それが分かっていてなお情にほだされたまま、最終的に己の運命を受け入れる男たちの今際の際の言葉がいい。女への思いは、ジュンギルもジェゴンも同じだろう。(というか、この二人の男はよく似ている)


    いやぁ、面白かったわ~。
    それぞれの登場人物にはいろんな過去がありそうだが、ありそうだな、とわかるだけで別に説明もなく、どちらかというと物静かに進行していくのがいい。韓国ノワールなのに、あれ?と思うほど血の印象がまったくないのも面白い。(刑事のバットはいかにもだけど)

    ジュンギル役は、パク・ソンウン。「新しき世界」でも一回見たら忘れられない面構えが良かったけれど、今回も出てきた途端に(出た…彼か!)とくぎ付け。一筋縄ではいかないあの顔。眼光の熱量。さらに、今回彼は尻まで迫力がすごくて、まいった。出番は多くないが、存在感が圧倒的だった。ちらりと見せる女への優しさも絶妙。
    ジェゴン刑事は、お初のキム・ナムギル。この人の抑えた演技と、複雑に変化する眼差しがすごく良かった。完全に場をさらっていく役者であろうドヨンさんとソンウンさんに全然負けておらず、見ごたえのある刑事役だった。薄着で首筋と背中を見せていると意外な仄寂しいようないとけなさが醸し出されるのも良かった。ジェゴン刑事の最期には思わず涙が出ちゃったもんね。哀しくて。(あのくらいじゃもしかして死んでないのかしれないが、やっぱり最期とも思いたい)
    他に、「アシュラ」でも良かったクァク・ドウォンが、ここでも嫌ぁな感じの先輩刑事役でとてもよかった。なんなんだろう、あの貫録(^^;
    ミンの人もこれまたいやらしい役がうまい!

    Netflixのおかげで、映画館へ行けないフラストレーションがだいぶ緩和されてるなァ。
    また、どんどんいい女、いい男に会えますように。


    この曲が劇中とエンドロールで流れるが、素晴らしい。やるせなさ倍増なのに、うるさくない。あくまでも良質BGMに徹している。Vnはヘギョンで、Vcが男たちかな…。一番好きなVnとVcの旋律がここでは入ってないけれど。

    category: 映画感想

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