終日暖気

    *大抵ネタバレしてとんちんかんな映画の感想など*

    陽のあたる場所  

    A PLACE IN THE SUN2

    『A PLACE IN THE SUN』 1951年 アメリカ

    むぅ~、名作・・・(今さらですが)

    本日はMontgomery Clift没後50年だったので、さて何をみようかと迷って、結局これに。

    再見とはいえ、高校のとき以来二度目で細かな部分は覚えていなかった。
    当時はなぜか石川達三の「青春の蹉跌」を読んだばかりで、似たような部分もあり(こちらの映画のほうが十年以上先だし、映画の原作はそもそも戦前のものなのだが)ひっかかりを覚えるところもあってあまり好きになれなかったんだわ。

    モンゴメリー・クリフトといえばいつも切羽詰っていて暗い・・・というイメージは、子供のときにTVで見た「終着駅」(初モンティ、子供の自分にはちょっと怖かった)と、この作品のせいだろなァ。

    が、今回見てみたら、えらい吸引力のある画面にびっくり。
    オットと前のめりで必死に見入ってしまった。目が離せない。
    役者など消えてしまって、ジョージとアリスとアンジェラと警部とおかんと神父、あとは叔父ら一群と目撃者たちしかいない。
    見ていると、いちいち3人の気持ちが憑依してくるため、それこそ切羽詰って追いつめられてしまう。(終盤、もう、あかん!!あかん!!と耐えきれず、思わず中断して、トイレ・・なんつって席をはずして「こんなとこで止めるな~」と怒られた)
    3人とも抑えた演技なのに、こちらを落ち着かなくさせるのはモノクロと多めの闇と悲劇の予感のせいか。

    ほんと、疲れたぜ・・・(T_T)

    有名すぎる作品だし、話の内容もいたって説明しやすいものなのに、この強力な力はなんなんだろうか。
    やはりスティーヴンス監督の演出かしら。そして役者かしら。まぁ、なにもかもだろうな。

    A PLACE IN THE SUN3

    十代の頃は、ジョージが最期にアリスをちらとも思い出さないのはどうなんだ?という点が気になってしまったのだったか。
    数十年後の自分は、しゃぁないな・・・だって最期なんだもの。代わりにこっちでアリスに謝っとくわ、みたいな気持ち。陽の当たる場所に恋い焦がれて結局ダメだった悲惨な男、同じく悲惨な女、男を愛した悲劇の女、3人のために祈りたくなるラストだ。

    説明は特にないが、ジョージの父親はおそらくもともと金に困らない家で育ったが、それをあえて捨てて奥さんと共に信仰、伝道、貧しい生活に身を置いて持たざる人々のために祈り行動する生活を選んだのだろう。しかし、生まれたときからずっと親の意向でそういう生活を強いられたジョージの場合はどうだろうか。逃げたしたくなるのじゃないか。
    アリスと歩いているとき、そういう伝道一家を道で見かけて、怯えたような眼差しになるジョージのワンシーンが、彼の心を、過去を如実に表している。

    奮発して買ったスーツで叔父一家の家に挨拶に行ったジョージの場違い感。呼ばれていったパーティ会場でも、誰も彼に気が付かない、誰も彼が見えないというあの描写。
    孤独というのは他者によって呼び覚まされ、他者によって癒されるものなのよね・・・
    湖での事故のあと、良心の呵責と恐怖にさいなまれて疲れ切っているジョージが、アンジェラの父親に自分の過去を隠すことなく素直にとつとつと語るシーンも胸が痛む。
    一瞬(これは見ている側もだが)アリスに消えてほしい!!と願ってしまったために、また、しなければいけないことをしなかったために死の宣告をうけることになる青年。
    互いに憎からず思っている職場の女工さんを妊娠させ(人恋しくてすり寄っていってしまう感じがモンゴメリー・クリフトうまい)、そうなったとたん陽のあたる場所が彼を受け入れてもいいと手招きし始める皮肉。いっそ野心満々の悪い男ならよかったのに、気弱で半端にやさしい男なので余計に悲惨なことになる。

    それにしても、あの湖でのジョージの(殺すべきか殺さぬべきか、どうしようどうしようどうしよう・・・)と書いてある葛藤しまくりの顔ったら!
    (ジョージ、あんたバレてるわよ!そんな風に彼女を見るもんじゃないわよ!そんなんじゃ計画失敗よ!!)と、とんでもない気持ちになるとともに、(アリス!逃げろ~~~逃げろ~~~~!!!)と思わず拳がかたくなっちゃった。
    私なら、彼からオールを奪い取ってぶん殴る!とも思ったわ。(ジョージ華奢なので、勝てそうである)
    もちろんアリスにもバレバレで、だからあんな事故が起こってしまったのだが・・・。
    事故が起こらなかったとしても、明るい未来は待っていない・・・ということが目に見えているので、つらい。

    3人にはそれぞれ幸せになってほしかった・・・
    やるせないような遠い目になってしまうような、悲惨極まりないんだけれども美しい哀感がたっぷりの名作。

    A PLACE IN THE SUN1

    脚本も演出も引き込まれる(音楽もちょっと映るネオンとかも面白いし、ヘイズ・コードのおかげで見えない部分が多いラブシーンもかえっていいのだ)が、それを可能にする役者がまたどんぴしゃ。
    『アルフィー』では、若いケイン様に人生の塩辛い部分をぱっと見せる豊満マダムが最高だったシェリー・ウィンタースが、ここではつましい生活をしながら必死にジョージという男を離すまいとする女工のアリスを好演。
    我慢して我慢してそのあとは絶対引かない、というようなちょっとしぶとく逞しい感じが見え隠れする感じがとってもいい。
    強そうだけれど、可哀想で守ってあげたくなる感じもいい。

    A PLACE IN THE SUN5

    ジョージが一目で、また彼女も一目で彼に惹かれてしまった、というのがダイレクトに伝わるアンジェラ嬢になったエリザベス・テイラーは、完璧すぎて女の私もうっとりだ。
    しかも、リズのアンジェラはただのお金持ちのきれいなお嬢さんではない。どこかとっても人が良くて明るく暖かくやさしい感じがするのがいい。苦労知らずかもしれないがバカではなく、そのぶんとても素直で愛らしい。ものすごい美貌なのに、冷たい感じいやな感じがゼロ。また、ジョージよりも年下なのに、時に姉のようにも母のようにも見えたりする。ホッと安心できる陽のあたる場所そのもので説得力がありすぎる!!

    引きの多いカメラが、ジョージとアンジェラのシーンはアップアップアップ。美男美女がひたすら麗しく(ハリウッド万歳、みたいな気分になる)どう見ても、互いに恋しているとしか思えない。演技とか忘れてしまう。ついでにアリスのこともつい見ている側に忘れさせ、あとで、あ、ごめん!アリス!!ついボーっとしちゃった!となる感じ。(それを狙ってるんじゃないかなァ)
    ジョージがアンジェラを見る瞳はいつもどこか助けを求めているような悲痛な感じだが、アンジェラがジョージを見つめる瞳は多彩で、興味深々から、どんどん惹かれてうっとり、自分の持てる愛情をすべて注ぎこもう、力になろう、守ろう・・・という風に変化するのも地のようにしか見えない。

    Elizabeth Taylor


    そんなリズとの相互作用が素晴らしいモンゴメリー・クリフトは、叔父の家でのおどおどしたシーンから(うまい!!)としか言いようがない。みんなに値踏みされている貧乏青年、あるいはみんなに見向きもされない大人しく自信のない青年・・・。一番ハンサムなのに、居場所がなく地味で壁みたいになってるんだもん。
    そして、見ている我々は彼から目が離せなくなってしまう。
    (この一連のジョージの様子を見ながら、クリフトのトム・リプリーを見てみたかったと思ってしまった。ドロンのトムはドロンにしかできない素晴らしいものなので、それは置いておいて、モンティのリプリーもまた原作のおどおどした淋しい淋しい青年像を完璧に体現してくれたろうなぁと。)
    アリスとのキスも、アンジェラとのキスもとてもうまい(撮り方もあるだろうが)し、裁判での、事件の日のことを正直に話したいがあまりはっきり覚えていなくて困惑している、というさまもうまい。警部もよかったし。葛藤するさまざまな表情は言わずもがな。メイドさんに呼ばれて振り返る顔はほんときれいだったな・・・

    が、没後50年として見るにはちょっとつらい作品だったわよ、モンティ~~~(T_T)
    「山河遥かなり」を今日見ればよかったかも。
    ジョージもアンジェラもアリスも永遠だけれど、役者さんたちはみんないなくなってしまったんだと思うと寂しい。
    今晩は、3人に手を振りたい気分。

    mf5.jpg
    撮影中のふたりと思われる写真があった。笑ってるし、仲良さそうなのがいいから貼っとこう。



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