終日暖気

    *大抵ネタバレしてとんちんかんな映画の感想など*

    山河遥かなり  

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    『THE SEARCH』 1948年 アメリカ

    再見。ずいぶん久しぶりに鑑賞。
    原題は捜索。めっちゃ探す、必死にたどる、みたいな感じか。
    (邦題は気持ち的にわからんではないけれどもちょっとセンチメンタル)
    フレッド・ジンネマン監督の静かな怒りを感じる反戦映画。

    ナチによる強制連行の犠牲になった恐ろしい数の子供たち。
    戦後、国連主導の保護活動が始まり、ドイツ駐留の米軍関係者が子供たちを救護するものの、彼らは親兄弟とはぐれ殺され、収容所での死の恐怖と暴力という劣悪な環境に置かれた末に誰も信じられなくなり、老人のような表情を浮かべ黙って怯えきっている。
    ハンガリー、ポーランド、チェコスロバキア・・・子供たちの言葉は字幕が出ない。が、殺される!と、怯え逃げ惑う彼らの恐怖は胸に迫る。
    この一連の描写が20分以上続くが、「戦争」というものがふかくしみて痛い。
    爆撃による荒廃が生々しい街の風景に呼応するように、子供たちのこころにも生々しい傷跡がぱっくりと口をあけている。

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    そんな子供たちのうちのひとりである少年は、父と姉を失い、アウシュヴィッツでは母親と引き離されてしまった。
    チェコスロバキアの音楽を愛する医者一家、マリク家の母子。
    深いショックのあまり、言葉が出ず、過去も思い出せず(覚えているというか、忘れられないのはフェンスだけ!!)怯えて黙ったままの少年は、救護の間の移動中恐慌をきたし、友人とともに脱走を試みる。
    同じころ、生き延びた少年の母も必死に息子を探していた。
    母子は出会うことができるのか、少年は記憶を取り戻せるのか・・・。

    というわけで、THE SEARCH。

    もう、これはジワっ ジワっときて、鼻の奥が痛いったらないのです。
    母の気持ちはたまらんし、救護のおばちゃんの気持ちになってもたまらんし、子供たちを思うとたまらんし、子供の気持ちになってもたまらない。もちろん、冷静に戦争を人間を考えてもしまう。

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    ラスト近く、汽車に乗らなかったミセス・マリクが笑顔で、「マレーさん」というところで、涙腺大決壊だったわ(T_T)
    このマレーさん(アリーン・マクマホン)がすごくよいのだ。疲れ切ってあまり表情を変えないものの、愛情深いのがじわりと伝わってくる戦災孤児保護活動責任者で、この最後の最後で見せる笑顔がほんと素晴らしい。
    ミセス・マリク(ヤルミナ・ノヴォトナ)がまた凛とした母でひじょうにいい。表情一つで揺れ動く母の気持ちがダイレクトに伝わる。
    さらに、一番大事ともいえる彼女の息子であるカレル少年。この坊やがまた・・・(T_T)
    ただでさえいとけない子供の細い首や細い声に涙が出そうなのに、この内容なんだもの~(T_T)

    追悼月間てことで作品を再見したモンゴメリー・クリフトは、いやぁ、やっぱり若いときもすっごくいいなァ。
    誠実な青年像がぴたりとはまって。

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    少年を助け、養いつつ言葉を教えたりしてるうちに父性に目覚め、もうこの身寄りのない坊やを俺が引き取ろう!!育てよう!!と決める米兵のスティーブ。坊やにプレゼントを買ってきた彼がジープから降り際に一瞬見せる笑顔の粋さに撃沈したわ。(男前すぎ)
    また、彼に徐々に懐く坊やがたまらん可愛いのだ!!(お兄ちゃんほっといておばちゃんちへ来んか~という)

    ひょんなことから母親のことを思い出し、彼女を探そうと家出した坊やを必死に追いかけ探しまくったスティーブが、しくしく泣き出す坊やを「hey,hey・・・hey・・・」と慰めるシーンは、坊やの気分になって泣きそうになった。(落ち込んでがっくり肩を落としている少年に、そっと「hello」と声をかけるところもすっごくいい。その言い方が。ニコラス・ニックルビーの時の孤児たちに勉強を教えてるダーシーさんと同じ慈愛が噴出しておりましたの。うわーん、と泣きたくなる感じの温かさ)
    もちろん、母との再会は最高で、これまた涙涙でありました(T_T)(T_T)
    よかった、このラストで(涙)
    現実はほぼこんな奇跡は起きなかったからこその怒りと、青年に投影された人類が本来持っているであろう良心についてしみじみ考えてしまう。

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    今日も、天国に向かって手を振るワタシ・・・。
    モンゴメリー・クリフトはすてきな俳優さんだ。

    category: 映画感想

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