終日暖気

    *大抵ネタバレしてとんちんかんな映画の感想など*

    キャロル  

    キャロル文庫

    『Carol』 パトリシア・ハイスミス著 

    初読。52年出版時のタイトルはThe Price of Saltとのこと。
    柿沼さん翻訳のハイスミスは水の墓碑銘以来かしら。

    で。

    素晴らしい小説だった!!
    二日間夢中で読んで、いまやすっかり私自身の一部になってしまった。
    (たいていのハイスミス作品と同様に)

    その瑞々しい筆致、いかにもハイスミスな繊細さに溢れた喜びと同時に怖ろしさもある心理描写のあれこれがたまらない。
    50年代を生きる市井の人々の人生もあざやかに浮かび上がっている。
    移民の国、アメリカ!!
    テレーズの作る舞台セットの模型、リチャードの作った凧、かつて服飾のプロだったミセス・ロビチェクのドレス、リチャードの母親手作りの白いドレス、そしてホテルで出会った老人の精巧なオランダの村のミニチュア…。そういう手作業による作品たちがとても印象的。

    物語は、多くの登場人物たちも、その装いも、さまざまな街、道路、建物さえも、まるで映画を今観たばかりのようにはっきりとした色彩、体温を感じさせながら、普遍性をもって進んでいく。
    テレーズとキャロルは、先日の映画のふたりとはまた違う、初めて出会う見知らぬ女性ふたりが脳裏に浮かび、動き出した。たとえば、「太陽がいっぱい」のトムが、ドロンでもマットでもない自分だけのトム・リプリーになってしまうように。(ありがたいことに、どのトムも愛しているし、映画キャロルのふたりも愛している)

    途中でもちろんイージー・リビングを聴いてしまった。

    Living for you is easy living
    It's easy to live when you're in love
    And I'm so in love......

    成長したテレーズと、変化していくであろう新たなキャロルとの関係、カリフォルニアのダニー、ミセス・ロビチェク、アビー・・・
    しばらく、彼らが脳内から消えそうにない。



    category: その他の感想

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