終日暖気

    *大抵ネタバレしてとんちんかんな映画の感想など*

    ミスティック・リバー  

    ミスティックリバー

    『ミスティック・リバー』 デニス・ルヘイン著

    気が付いたら師走も半ば。どういうことだ。
    夏以降の絶不調には困ったもんだ。これが年ってことなのか。
    なぜこの本を読もうと思ったのかも忘れた。(映画も見ていないのに)
    しかし、初デニス・ルヘインにすっかり魅了されたのです。素晴らしい!!

    むかし、人間は野生動物さながら命の危険にさらされて生きていた。
    翻って豊かな進歩をとげた文明社会の現代、それは結局のところちっとも変っておらず、
    たまたま生き抜けているのは死と隣り合わせにある紙一重の偶然がもたらす幸運、あるいは不運でしかない。
    そんな三十路以降の無意識?を思い出した。

    また、むかし、十代の頃に映画化され、それを地元では見られなかったおかげで手に取ることことになった
    「ブルックリン最終出口」。あの小説の読後に味わった鋭い暴力的な諦念をふと思い出したのだが、
    当時あれはまだ自分にとってはあくまで異国の文学だった。(今読んだらどうだろうなぁ・・・)
    それが、今回は最初から最後まで、いま、だった。現実だし、異国でもない。

    いわゆる犯人は、わりと最初のほうでなんとなくわかり、実際読み進めるうちにその思いは強くなる。
    そしてそれは正解であったが、犯行理由は外れた。
    が、そんなことはどうでもよく、ラストまで一心に読み耽ってしまった。
    トラウマの描き方も、凡百のそれにある、ある種の、なんというのかなぁ、あの嫌ぁな感じがゼロだ。

    エピローグがまたなんという見事さ!!!
    新鮮ささえ感じだ。著者の誠実さを感じ、清潔感を感じた。
    ゆるゆると世界を覆いつくして消えない絶望感。(蔓延するそれが街そのものである)
    あらゆる登場人物たちへの奇妙ないとおしさ。彼らのさまざまな心理描写にたいするはっきりと身の覚えのある既視感。
    あぁ、愛は常に身勝手だ・・・

    そして、生きることは働くこと、という言葉にしみじみ頷きながら、なぜ?と問うのもとうにやめて、ふてぶてしく開き直る己。
    ま、開き直っても開き直っても、相変わらず傷つきはするのだが。

    いやぁ、面白かった。こんなにも作家に信頼を寄せたくなるのも久しぶりだわ~。
    他の作品もどんどん読もう!


    category: その他の感想

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