終日暖気

    *大抵ネタバレしてとんちんかんな映画の感想など*

    残酷な神が支配する  

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    へぇ、萩尾さん、こんな作品も書いてらしたんだ、というので2日かけて一気に17冊を読了。
    92年から01年にかけて連載されていた作品とのこと。
    殺っちまえ、そんな奴は殺っちまえ、そいつも殺っちまえ、なんて思いながら読んじゃう漫画(いかんではないか)
    というのも、初めてかも。といって、「訪問者」のようには苦しくはなく、辛くもなく、頁を繰りながら心はそよともしない。無風なんでした。心理士のための副読本みたいな感覚が終始あったかも。

    先日、LAW & ORDER UK を見ていたら、25年後に自ら死を選ぶ元被虐待児(家族からのものではなかったが)の警官がでてきて、あぁ、わかるなぁと思ったけれど。
    家族間での残酷さのバリエーションというのも多々あろうけれど、子どものうちに心のどこかをすっかり破壊されると、直近での苦しみもさることながら(物語は、直近の話)、ふとしたはずみで、たとえ何十年経っても甦ってくるのだ。
    涙が止まらなくなったり、怒りに身体が震えたり、暗黒が口を開いてかつて破壊された場所から憂鬱が絶望がとめどなくふき出す。非常に厄介。
    だから、この作品で延々おっかけてくる亡霊のような虐待者の描写はリアルだった。
    まぁ、しつこいしつこい神は死んでも尚しつこい。でも、ほんとのことだから仕方ない。
    ゾンビのような記憶。

    というわけで、生まれ出て、残酷な神に支配されることなく生きられる者は運がいいのだ。
    残念ながら不運に見舞われた場合は、恨もうが呪おうが助けを求めようがどうにもならないので
    とりあえず諦めて、黙って耐えてやり過ごすしかない。なにか他の事に集中して。
    そして、庇護の要らない年齢がきたら、遠くへ行く。決別する。これも、とりあえず。
    で、その後の人生は、運が良かった者のそばにいるのがいいかもしれない。
    そこは呼吸が楽にできるし、安心できるし、破壊されていない部分の心が休まる。
    運が良かった人間は、心根が明るく優しい。
    彼らはたとえ鈍くてもずれていても、偽りなくあっけらかんと常に人間くさくて優しい。
    なによりなにより、自分を呪っていない。自身を好きである。これがもっとも大事だと思う。
    そういう人間もまた、世の中にはたくさんいる。希望といったら、そこかな。
    そんなひとたちのそばにいて、明るい場所へ常に引っ張り出してもらうのがよい。
    そうしているうちに、ゾンビは消えやしないが少し遠く薄くなる。(ま、濃淡はたぶん死ぬまで繰り返すのだが)
    だんだんと支配させる領域を狭められる。あとは義務だけ果たせばよい。
    優しいひとたちに、何度でも明るい方向へ引っ張ってもらえばよい。
    運の良かった人間の愛情はあたたかい。

    と、この年になると思うなぁ。
    そうとでも思わなきゃ、やってられないだろう実際。

    残酷というのは、新解さんによると、「理由なく人畜に苦しみを与えて、平気な様子」とのこと。
    まったくねぇ。
    残酷に囚われないよう、自分の暗黒が広がらないように生きたいものです。

    ちなみに、この漫画ではキャスが好き。

    category: その他の感想

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