終日暖気

    *大抵ネタバレしてとんちんかんな映画の感想など*

    光のほうへ  

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    『SUBMARINO』 2010年 デンマーク

    初見。

    いい映画でした。
    時系列をちょっといじっているお話ですけど、目を離せなかった。
    お目当てはTVドラマでの父性愛の見せ方でノックアウトしてくれたヤコブ・セーダーグレンだったのですが。

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    兄は、弟は、だめな人間か?
    ちっとも。

    他にどう生きられたというんだろ。
    いいも悪いもあるもんか。
    そんなことを選っているような余裕など子供のころから一切与えられなかった、最初からまず諦めることを憶えさせられてきたような人生なのに。

    そりゃそうなるわなァ・・・
    自分だってあの状況に置かれていたらああなる。もっと腐る。
    と思ったわ。

    それでも、幼い頃から 互いを、そして自分より小さいもの、よわいものに精一杯の愛情を注ぎ守ろうとする兄弟がたまらない。
    マーティンはそういう兄弟の心の結晶でできているようなもの。

    間違ってるかもしれない、いや、間違っているんだけれども、それでも必死にやばい仕事をする弟を追っかけてくる社会正義に腹が立ってたまらなかった。
    わかってますとも犯罪だってことは。彼の犯罪がまた社会の闇を深くすることも。

    でも、である。
    他にどうすりゃよかったのか。
    盗むな、ヤクを断ち切れ、金ができたならそこから抜け出せ、というのは簡単だ。
    彼は親として無責任というのも。
    でも、仕方ないやん・・・
    まともな世界に生きてたことなんて生まれた瞬間から一度もないのだ。
    (この問題の根深さ、凄まじさには、立ちすくんで呆然とするしかないところがある。しばしば想像の範疇をこえてくる。何処の国でも。)
    信じられるものは控えめだけれど深い兄弟同士の愛情、父子の愛情だけ。それこそ奇跡のような。

    弟が疲弊しきって絶望したのもわかる。

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    ニックの兄としての責任感と愛情(彼は子供のころから弟たちをまず母親から守ってやることを使命にしていたと思う)も、涙涙である。
    彼の心配事は、弟と彼の子供のこと。
    かつて愛した女性と彼女の兄(精神的に問題をかかえている)のことも気にかけているが、自分のことは後回し。というかもう欲などないのね。自分はなんとか生きていけさえすればいいと思っている。
    自分のことを憎からず思っているシェルター生活仲間の隣人の女性と精神的に相互扶助・・・な関係を持ちつつ、やはり荒んだ気持ちを抱えて自分より弱いものを心配しながら生きている。(ニックが一番に優先するのは常に子供)
    彼の場合は飲まずにはいられない。身体の鍛え方も、何も考えずにいるため、かつて死なせた小さなもの(彼のせいではまったくなかったのだが)への罪悪感を感じずにいるための自罰のような痛めつけ方にも見える。
    物事は悪い方へ悪い方へ進んでしまう。
    こうなったのは彼のせいなのか?
    違う。

    自分を愛そうとする大人のことを、子供はどれだけの寛容をもって信じ、受け止めているか。
    その描き方もリアリティがあった。

    マーティンが亡き父を「離れても常に一緒」と信じ、ニックの手を握り心を預け信頼している様は、美しい。
    地獄のなかの一筋の光は、マーティンだけでなくニックをも照らしていると確かに感じられる。

    遠い世界の話などではまったくない。
    自分は、自分の世界で自分ができることをただただやるのみ、そしてやはりただただ生きるのみだけれども。

    category: 映画感想

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