終日暖気

    *大抵ネタバレしてとんちんかんな映画の感想など*

    エゴン・シーレ  



    『EGON SCHIELE』 1980年 オーストリア・西ドイツ・フランス

    初見。友人との話のなかでふとマチュー・カリエールを思い出したので借りました。マチューさん、学生の頃『テルレスの青春』(1966年)を映画館で見たのですけど、その時感じた映画のうすら寒い恐ろしさとマチュー少年の理知的でひんやりとした美貌が妙に忘れがたくて。(いや、ずっと忘れてたんだけど(^^ゞ)

    <←テルレスはこんなである>

    その後成長したマチューさんはどんな映画に出てるんだろ?と借りられるものを探したらこれになったのです。
    エゴン・シーレについてはよく知らないまま見ました。なんとなく苦手な絵というイメージがありましたけど、少なくとも劇中で出てきた絵はいやではなかった。画集で見るのと本物を見るのとでもまったく違うだろうから、どこかの美術館に来た時には足を運んでみなくっちゃ。

    映画は、そうだなあ、私はかなり好きだなあ。なぜかちょっと泣けちゃったわ。
    たくさん出てくる身体も痩せて骨っぽくて豊満なのはゼロで、でも、それは退廃的エロスでもなくてむしろロマンティックで可愛いのです。お話の奥にずっと深い悲しみのようなものが見え隠れしていて。



    シーレになってるマチュー・カリエールは、すらりとして美人なのですけど、なによりその終始柔らかく穏やかなささやくようなドイツ語が素敵。あんなドイツ語あんまり聞いたことなかったわ。
    しかも、その声で個人的に思い出深すぎる「マルテの手記」を読んでくれるし・・・(あ、だから一も二もなく好きになったのかもしれん)
    深夜1時になるとラジオから流れてくる、一晩に15分ずつ朗読してくれるマチューさんの文学散歩なんてのがあればいいのに。(本気)

    そんなマチューさんが主役なので、映画自体も嫌味のかけらもない詩的感覚に覆われ、時々ハッとするほど美しい画が続いたりもするのでうっとりなんでした。
    身勝手だけれど汚くない、そう感じさせる稀有な佇まいがとてもよかった。
    暗くて繊細で難しく美しい芸術家。何かに倦んでいてもいやらしくないのです。(ここで単なるナルシストに見えてはつまらないもんなあ)
    マチューさんの抑制のきいた演技、ずっと壊れることはありませんでした。



    寂しいのは、シーレをよく理解しているモデルで恋人のヴァリー(ジェーン・バーキンである。これがまた魅力的)と途中で別れてしまうこと。とっても似合いの二人だったのに。オレンジのシーン、良かったよ~~(T_T)
    といって、新しい恋人というか奥さんも決して嫌いではなかった。むしろ好きだ。美しき狂言少女も。ひとめでぐっと惹かれあうシーン、どれもこれも説得力があったのはやっぱりマチューさんの佇まいのせいだろーなあ。見てよかった。悲しい物語だけれど。

    category: 映画感想

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