終日暖気

    *大抵ネタバレしてとんちんかんな映画の感想など*

    ドライ・クリーニング  


    『NETTOYAGE A SEC』
    1999年 フランス・スペイン

















    初見。
    これまた面白い作品!!

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    スイスに近いらしい田舎町のクリーニング屋さんの夫婦ジャン=マリーとニコル。
    二人が真面目に切り盛りする店は、腕がいいと評判でとても忙しそう。
    可愛いらしい息子の面倒は同居する夫の母がよく見てくれている。
    ある晩、寄り合いのあと商店主たちとお酒を飲みながらちょっとしたショーを見た二人。
    翌日、いつも通り忙しくしている店へ「ワインのしみを取ってほしい」と
    ステージ衣装を持って現れたのが、化粧を落とした昨日のショーの青年。
    この青年が平凡な夫婦の生活に少しずつ入り込んでくることから始まる奇妙な三角関係…

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    なんでしょう、とにかく夫婦の心をかき乱す青年がなんともいえぬ色っぽさを持つ
    若くてきれいな人なのです。

    夫婦が初めて彼を見たステージ。
    若い男女が同じ格好をして、
    女同士という設定でエロティックな絡みを見せる非日常的な光景。
    日々追われるような現実生活を一瞬すべて忘れてしまうような淫靡なパッション。
    平凡なごく普通の夫婦は思わずポ~ッと酔いしれてしまうんですよね。

    で、翌日衣装を持って夫婦の前に現実として現れた青年は、
    女装美人の時とはまた全然違う透明感のある色気を漂わせているのです。
    彼には思わず見入ってしまうなにかがあって、誰だってこんな青年が家に入り込んできたら
    おかしな気持ちになるんじゃない?という感じ。

    そして、そんな彼と知り合いになってからの
    夫婦の行動の裏にあるそれぞれの揺れ動く心理というのかなぁ、
    そういうものがいろいろと感じられるのがとても面白いのです。
    はっきりと説明できない感情を、実に雄弁かつ官能的に見せてくれるので。

    「他人の汚れものを洗うのはもういやなの!」
    という妻。
    彼女は青年とセックスして自分のなかの女を思い出し、彼に溺れ、また、
    恋に落ちた夫と結婚するために何もかも捨てて遠い街からやってきて10年以上経つのに、
    いまだに(たぶん永遠に)「よそ者」であり続けなければならない田舎町での
    平凡で多忙極まりない現実生活というやつに、
    ほとほと嫌気がさしていることに気づいてしまうのです。
    嫌だと一旦思ったら、本当にもう何もかもがたまらない気分になってしまうのよね。

    さらにこの映画の面白いのは夫の心理。
    私、生真面目な旦那さんがどうしようもなく美しい人に惹かれてしまいながら、
    そんな今まで経験したことのないわけのわからない自分の気持ちに慌ててしまって、
    一生懸命にそれを否定して、でもやっぱり浮き足立って離れたくなくてイライラし、
    ドキドキしつつ、そんな馬鹿な!とパニックに陥っていく様子がすごく面白かったなあ。

    青年がまた、生い立ちのせいなのか、愛情に対してとても貪欲でちょっとunmoral…
    だから自分に正直に行動すると周囲がたぶん混乱に陥ってしまうのよね。
    でも困らせるつもりはまったくないのがコワイ、というタイプ。
    旦那さんに「あなたはいい人だ。あなたと寝たい」なんて大真面目に迫ったりするんだもん。
    せっかく器用で仕事覚えも早いのに、ちょっと可哀そうな男の子でもある…
    迫られて大混乱に陥る真面目な旦那さんもすごく気の毒だけれど。


    ラストの妻の行動、ものすごく説得力がある…と言ってしまうと問題だけれど(笑)、
    でも、女はこうするね!というそれはもう大いに納得。違和感なしなのです。
    お仕事済んでの妻の堂々としたクールな顔つきを見よ!怖いものなど何一つなさそうだ!
    このときの、次第に夫の腕に寄り添うような、腕をいまにも絡めそうな、
    強まった夫婦愛の漂わせかたにもニヤリとさせられました。


    脚本演出とともに、やっぱりこの夫婦を演じた
    ミュウ=ミュウとシャルル・ベルリングがうまい!!
    シャルル・ベルリングって、つい先日見たばかりの『趣味の問題』で
    ムッシュ・ジロドーのお抱え料理人兼栄養士係をしてた俳優さん!
    この時、ジャン=ピエール・レオーの刑事さんに
    「あなたわかってます?毒殺の共犯になるんですよ!?」
    と言われて一瞬見せる、人を喰ったような眼差しがすごく良かったのよね(笑)
    それと不思議な雰囲気を醸し出す美青年を演じるスタニスラス・メラール。
    退廃的なドロドロの色気ではなくて、爽やかなのが不思議なのです。微笑むとあでやかで。
    この大事な3人のキャスティングが完璧でした。

    category: 映画感想

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