終日暖気

    *大抵ネタバレしてとんちんかんな映画の感想など*

    フェアウェル さらば、哀しみのスパイ   




    『L'Affaire Farewell』 2009年 フランス 

    こういうの、もうアカンのだわ。なんやしらん泣けて仕方ない…(T_T)
    もともとスパイものは好きですけど、これはまた…
    のっけ、(あ、ボルグや。マッケンローや。81年や!!)といきなり掴まれまして。
    東西冷戦、ブレジネフにレーガンにミッテランですもの。さらにゴルビー。(アンドロポフ書記長とか一緒に思い出したり)
    冷戦終結前夜のモスクワを舞台にこんな事件があったとはまったく知らず、ドキドキしながら見入ってしまいました。
    なるほど、こうやって組織、組織に自然に属しながら、各陣営へ機密漏えいを地味~にこなしていたりするのね…とか、ソ連邦崩壊までには西側にこんな動きがあったんや…とか、そういう部分も非常に面白く。

    クストリッツァ監督、うますぎるわ。そしてなんともセクシー。かっこよすぎなのよ…(T_T)
    彼扮するセルゲイ・グリゴリエフ大佐は、KGB幹部として優秀な人材であり、いろいろな問題が見え過ぎるが故に停滞期に入ってしまっている自国の変革を試みようとするのです。
    国が掲げてきた主義は結局は理想でしかない、実現不可能なものであるという絶望と、息子たちの世代のために今行動するしかないという信念。自分はそれをできる立場にあるのだ、という。そんな彼のコードネームが「フェアウェル」。Farewell。

    「裏切り者であることに変わりはない。誰もやりたがらない背信行為だからな」
    そう自嘲しながら、ひとり孤独な戦いを挑んでいる大佐は、ド・ヴィニーの「狼の死」という詩が好きなんだという。もうそれだけでラストが見えるようで切なくて…(T_T)こういう抒情的なの、クストリッツァ氏の眼力、顔力とうまい具合に中和されていて、素直に沁みましたわ。
    愛する妻の手前、そして子供たちのため、己の恐怖もあって早く手を引きたいと思っているピエール(ギョーム・カネ)。彼はもともと家電メーカーの技師さんであり、上司に頼まれて大佐からの情報を仏国土監視局に流すメッセンジャーになっただけの謂わば素人。



    大佐とピエールの間に、徐々に生まれる友情のような心の交流がまた良くて。孤独な仕事だからというのもあるのですけど、やっぱり人間的に合ったんだな二人は、という。そして、二人とも国を、家族を愛している。
    二人それぞれの、女性たちに対する男としての部分の描かれ方も良かった。
    大佐と愛人とのやりとりも良かったし、大佐と妻のダンスシーンがまたなぜか涙が出るのよ(T_T)
    ピエールと妻、大佐と息子、これも短いシーンながら相手を想う気持ちの強さにグッときたな…。
    ピエール宅の家政婦や、監視要員の兵士たちなどの描き方も人間味があった。
    各国の思惑がひしめく壮大な情報戦、国際情勢を揺るがす一級軍事機密の奪い合い。そこを担い、相剋、葛藤を抱えながら暗躍するスパイたち。
    あくまでも歴史の歯車の一部となり、消されていく存在。その裏にある人間たちの静かで文字通り必死なドラマ。
    切なさにやられてしまうんだけれども、ほんと好きだなぁ、この映画。
    クリスチャン・カリオン監督作品。
    大佐妻がどこかで見たお顔と思ったら、『太陽に灼かれて』のインゲボルガ・ダプコウナイテさんでした。



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