終日暖気

    *大抵ネタバレしてとんちんかんな映画の感想など*

    ひと月の夏  


    『A MONTH IN THE COUNTRY』 1987年 イギリス


    ああ、なんて好きな作品だろう~~(T_T)

    何というか…わかってくれてる人がいる!という喜びを感じるような。
    単純に登場人物に共感するとかそういうんではなくて、
    すごく気の合う親友に出会えた喜びのようなものを映画全体に感じるのです。

    国や人種や宗教観など軽く飛び越えてました。
    個人的に、生きてて良かったという喜びがじわじわ沁みとおってきた映画です。
    あ、これ、コリン祭り第5弾なのですけど。(コリン、素晴らしかった~)

    映画の途中で(あれ?)と思ったのが
    かなり古い歴史的建造物(墓所らしい)の上で、男たちがパイを食べるシーン。
    高校時代ちょうど”英国美青年ブーム”まっただ中だったのですけど
    映画雑誌にたっぷり紹介されていた英国映画のスチール写真の中にあったそのシーンを
    不思議に覚えておりました。
    映画のタイトルは忘れていたけれど、いやぁ、この場面知ってるわ!と。
    当時、興味を持ってそのままこの映画を見ていれば間違いなく大好きになっただろうに
    なぜ素通りしてしまったか。

    それは、パイを食べてる片割れの男がケネス・ブラナーだったからなのよね~~(^^ゞ
    ブラナーさん、どうも苦手な親戚のおばちゃんぽいところが昔から好きじゃなかったの。
    (ごめん。しかもおばさんて)
    しかし、この作品のブラナー氏はちっともいやじゃなかった。
    コリンはもちろん若いナターシャ・リチャードソンほか役者全員がみな素晴らしい、
    監督の見事な手腕が光る一品でした。




    美しい素朴な村にやってきた戦争帰りの青年。
    村でのひと夏が彼を癒した・・なんていう安っぽい描き方では全然ないのがよいです。
    黙々と仕事をする青年の手によって壁画が現れてくるのと同時に、
    村で出会っただれもがその胸のうちに痛みをかかえていることが見えてくるけれども、
    しかし誰一人としてその苦しみを他人に告白したりなどしない。
    壁画を描きながら己の名前などひとつも残さなかった芸術家のように自我を求めない。
    生きていたらそういうこともあるよねそういうものだよね、という感じ。実際そうだものね。

    西洋映画なのに抱擁するシーンもひとつとしてない。
    登場人物たちは大切なことほど黙し、互いにその思いをまなざしに秘めるだけ。祈るだけ。
    「哀れなるもの」
    塗りつぶされていた壁画の異教徒はまさに彼らひとりひとりであり、私自身なんだと思いました。
    ラスト、壁画の前で青年とすれ違う老紳士。
    どんな人生がその後あったのか知れないけれど青年はしっかりと生を全うしたのだ。
    あの姿は召される前のバーキンの魂だったに違いない。

    ひと夏を通じて、おおいなるものの御手(キリストの、とかそういうことではない)
    を感じられる演出に心が洗われるようでした。

    本当に大好きな映画・・・出会えて幸せです~~(T_T)
    『とまどい』『ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ』に続く
    今年の最高作品になりました。

    category: 映画感想

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