終日暖気

    *大抵ネタバレしてとんちんかんな映画の感想など*

    ゲーテの恋  




    『GOETHE!』 2010年 ドイツ

    今日は、ゲーテのお誕生日らしいです。初見。
    まずは何より、ドイツ語なのが嬉しかったなァ。

    始まってしばらくはバタバタした印象でコメディなのかしらと思いましたけど、
    ゲーテ入門と言った感じで、最後まで役者さんたちの演技を楽しめました。
    『素粒子』のモーリッツ・ブライプトロ、うまいんです。(ゲーテとブッフ嬢ももちろんすてき)
    手酷い失恋をしたら、みな復讐に燃えたりせずに本を書けばいいのね~(文豪になれるかもしれん)

    「エミリア・ガロッティは?」
    「面識はありません」
    「戯曲なんです。レッシングの」
    「…聞いたことはあります」

    古今東西繰り返される物語かもしれないけれど、この思わず嘘をついてしまうとこが切ない。
    若い娘は、それも知らないのねって平気で思ってしまうかなしさもあるし。
    生真面目に法律を必死に勉強してきた参事官の表情がなんかもうほんとアレなのだ。(モーリッツさんうまい)




    知らぬ間にシラノになってしまうゲーテ。
    知らぬまま素直に教えを請う参事官。
    ムードに負けたというより、家族を養わねばならぬ長女の責任感を優先せざるを得なかったブッフ嬢。
    (だって弟妹たち&父がニコニコと見守ってるんだもの~)

    あんなに素敵だった贈り物が、現実の前ではかくも簡単にその魔法が解けてしまう演出に残酷なものをハラリと見せておいて、次は馬を走らせるゲーテに(頼む!参事官に事情を悟られないでくれぇ)と呻きつつハラハラ。

    しかし、やってきたブッフ嬢に対し、「アルベルトを愛してるのか?」って、あはははは。なんて子供だ。可愛いなあ。
    戻ったらアルベルトまで泣いてるし。可愛いなあ。この夫婦はうまくいくわね。大地に根を張ってるような逞しく健全な女は、やりくりも子育ても明るくやりきるだろうと思わせる描写。男たちの涙でブッフ嬢はひとり現実的な大人に。


    とにもかくにも感情に乾杯。




    ゲーテに扮していたアレクサンダー・フェーリングは、『イングロリアス・バスターズ』に出ていたらしいのですが、むむむ、男前なのに覚えていないとはどういうこと。

    category: 映画感想

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    ハーヴェイ・ミルク  




    『THE TIMES OF HARVEY MILK』 1984年 アメリカ

    初見。自由の国アメリカのドキュメンタリー。
    あらゆるマイノリティのために人生を捧げた行動の人、偉大な人であるミルクの言動を見ながら、あれこれ考えさせられました。
    嬉しかったのは、ミルク陣営には性的指向に関係なしに様々な女性が加わっていたのがわかったこと。11歳の可愛い女の子から70歳のおばあちゃんたちに至るまでボランティアスタッフもいたみたいだし。映画では女性は一人しか出てこなくて、実際はもっといたのじゃないのかなあと思っていたので。(なぜ男性ばかりにしたのやら)

    作中気になった、アジア系の老夫婦と彼らにビラを配るミルク側の運動員二人の穏やかなやりとり。

    「提案6号の反対運動をしています」
    「6号?嫌煙権かい?」
    「それは5号です。6号はゲイと彼らを支援する教師をクビにできるという提案です。すべての人々の人権を侵害するものなんです。どう思いますか?」
    「なんの意見もないので…ノー・コメントです」
    「チラシを読んでいただけますか?」
    「もちろんです」
    「有権者登録は?」
    「済んでますよ。これは、個人的問題ですね?」
    「そうですが…、とても気にかかります。私の友人であるゲイの教師たちも失業するんです」
    「それは気の毒だ」
    「たくさんの人々が苦しみます。一度差別を認めてしまうと同じようなことが次々と起こるでしょう。ぜひご一考を」
    「わかりました」

    (提案6号は、カーターもレーガンも反対側に回るという政治的判断をし、実際僅差で否決されてましたが、ミルクの死後80年代に入って顕著になったエイズ禍の中では、レーガンの政策は後手後手に回り、世間はエイズに罹った血友病の少年を「我々は彼を憎んでいるのではない。彼の病気を憎んでいるのだ」と言う詭弁を弄して学校から追いだすことを認めさせ、ついには一家を町そのものにいられなくするという目を疑うような現実があったという80年代を振り返るドキュメンタリーも先日見たばかりで、なんとも云えない気分…)

    上のやりとりをしている中で印象的だったのは、老夫婦の特におじいさんの表情の変化。
    最初、ゲイについてと言われてもよくわからないし…と困惑気味なのが、自分の問題として具体的に想起できたときに、ぐっと真剣なまなざしになるのだ。


    今年の6月、ロシアではどんな逆行かというようなとんでもない法に大統領が署名したそうですが。
    ワガクニもいろいろと非常に心配ですが。
    一度認めてしまうと同じようなことが…という過去が甦る予感というのは不気味で怖ろしい。
    「私たちが激怒したのは、彼が自由社会の財産だったからです」

    国家というのはマイノリティの集合体だと言ったのは、ル・カレ。
    その国家で生きる我々は、希望や精気がなければあきらめてしまう。希望のない人生は生きるに値しない。あなたが彼に希望を与えなければならない。と言ったのがミルク。
    絶望する市民でなく、やはり怒れる市民でないとダメなのね…

    category: 映画感想

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    永遠の僕たち  




    『RESTLESS』 2011年 アメリカ

    初見。
    個人的に、こんなにも作品の死生観がすんなり細胞に沁みる外国映画も珍しいかも。
    死生観というか、生と死の個人的な呑込み方、受け入れ方というか。
    第一、生死の扱い方が真摯だったわ。
    他にも、この作品には自分が子どものころ好きで大事に思っていた気がする物語にあった空気、確かにその頃自分も感じていた感覚、がそっくりそのまま描かれている懐かしさ、記憶のフラッシュバックのようなものがあって、そこがまたたまらなかった。




    印象的な人物造形とそれに付随した完璧なキャスティング、見終わってしみじみ”愛”を感じる、大事な人をちゃんと愛そうと自然に思わされるたいへん好きな作品でした。ちょっとした部分で、すぐはなが止まらなくなるのは困るけど。
    加瀬くんが出ていると知って見たいと思ってからずいぶんと経つような。




    ガス・ヴァン・サント監督、こんな作品を撮る方だったとは。
    少年少女を演じたヘンリー・ホッパー(正面から見るとお父さんに目元がよく似てる)、ミア・ワシコウスカ、日本兵の幽霊ヒロシを演じた加瀬くんの3人が何とも素晴らしく、ほかにも伯母さん、病院の医師、警備員さん、少女の姉などみなみな好きになる美しい映画でした。

    映画を見る気にもなれない、という日々が増えましたけど、やっぱり完全に離れるのはよくないな…

    category: 映画感想

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    The Lost Child  




    録りためていたジョージ・ジェントリー警部をちょこちょこと見てますが、警部、男前すぎる。
    (妙齢の女性に迫られたりしても、サマになる渋さ。意外にユーモアもある)
    第一話の犯人は、シャーロックの第一話の犯人を演じていた役者さんで、(お!)となりましたけど
    今回は、マイクロフトが事件に巻き込まれるお家の主人として登場。
    しかし、後半、死ななくてもいい人が死んでがっくり。
    なんなんだこれは。必要か????(ほろ苦い余韻とかとは全く別のものだ)
    一緒に歩きながら、その歴史の話を聞いていたいと思わせる若者だったのに、不運、不幸すぎる。
    パズルのピースがカチッと合う感じもなくて、脚本的にもなんかこうしっくりこない。落ち込むばかり。

    category: その他の感想

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    ウッドストックがやってくる!  




    『Taking Woodstock』 2009年 アメリカ

    初見。
    あれ?ジェシーことジョナサンってばアン・リー監督作品に出演しているではないの!!と気付いて、大喜びで視聴しました。うわぁ、好きだこれ~。

    舞台は1969年。月面着陸の69年。その一瞬の美しき輝き。
    まだこの世に存在していなかった自分には、ウッドストックもヒッピー・ムーブメントも同時代性がなくて、
    残念ながらその歴史や空気がどうしても皮膚感覚的に”わかる!”とはなり得ないのですけど。
    なんでヒッピーは素っ裸になりたがるんやろ?なんで愛と平和にLSDがくっついてくるんだろ??と、
    いまだによくわからないことだらけだし。(そのイメージ自体が間違ってるのかしらん?)
    しかし、壮大な野外音楽フェスがやってくる、ついに始まる、というなんともいえない高揚感、
    祭りのあとの帰り道、おもしろうてやがてかなしき…的なあの気分、それはもうほんとよくわかるので…。

    また、このお話はあくまでもフェスの開催地となったニューヨーク州のかなりの田舎町でモーテル(大赤字で大変なうえに、なんだか探偵ナイト〇クープに時々出てくるパラダイス的ななんともいえないモーテルである)を経営する一家、家と町のためにフェスを呼び込むことにした一家の長男エリオット青年が主人公であり、3日間のために何かが変わってゆく町の話でもあって、寄り添いやすくなっておりました。




    『推手』の時から一貫している、主人公の抱える葛藤と、個の自立、というテーマがしっかりこの作品にも感じられたなぁ。でもって元気がでますの。やっぱりいいわ。アン・リー。
    個の自立には孤独への強さ、多様な価値観と自由というものについての尊重が不可欠と思いますけど、家族、社会のなかで生きる人間たちの機微を穿つ監督の演出、ほんと好きだ~~。




    役者さんたちもみな良くて、主人公エリオット(ディミトリー・マーティン。好きなお顔)は応援せずにはいられない心の優しい悩める青年だし、アクの強すぎる母(イメルダ・スタウントン)、どんどん表情が変わっていく父(ヘンリー・グッドマン)、人間が超男前のビルマ(リーヴ・シュレイバー)、戦争で受けた傷は大きそうだけれど自分なりになんとかしようとしている同級生のビリー(エミール・ハーシュ)、改装工事をやってくれてる男や前衛劇団の憎めない男、ラングの連れの女性などなど個性的な面々が存在感抜群でした。




    お目当てのジョナサンは、ウッドストックのプロデューサーであるマイケル・ラング青年を演じてるんですけど、このファッションと頭↑なのに、いつも妙な登場の仕方で現れるのに、なんかむちゃくちゃかっこいい…
    ジェシーとはまた全然違う男っぽさと、この人に任せたら大丈夫や!と思えるような自信に裏打ちされた人間的な大きさと魅力がキュッと光ってるのです。相変わらずの声だし♪
    「うまくいくさ。波動がきてる」と振り向くジョナサンに細胞ごと持ってかれました。間合いの詰め方がかなりセクシー。
    ジョナサン、すっごくいい役者だわぁ。惚れ直した。

    役者さんたちの魅力を十二分に引き出してるアン・リー監督はやっぱり名監督だと再認識しました(嬉)

    category: 映画感想

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    キャバレー  




    『CABARET』 1972年 アメリカ

    gleeシーズン1の第5話を見て以来、ずっと再見を待ちわびていました。

    「紳士淑女の皆さま 悩みは消えましたか?」

    いかん…。10代の頃とはくらべものにならない感動で胸がいっぱいだ。
    マイン・ヘルですでに撃沈。
    キャスト含め、なんとまぁ完璧な映画(T_T)
    切なく哀しく滑稽で残酷。愛おしい。美しい。ひじょうに怖ろしい。
    ひたひたと迫りくる不安も絶望も愛もまったく色褪せず古びていない。
    そのまま現代の現実のそれだから、もちろん悩みは消える。
    あーあ、フォッシーの胸で泣きたいよ。




    マイケル・ヨークの魅力というのは、この年になってようやくわかった!(昔はよくわからなかった(>_<))
    ケンブリッジの学生ブライアンは、彼でないとダメだわ。
    年は取ってみるもんだなァ。

    category: 映画感想

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