終日暖気

    *大抵ネタバレしてとんちんかんな映画の感想など*

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    ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ  


    『ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ』

    ジョン・ル・カレ著





    初読。



    例によって友人が、「『裏切りのサーカス』 観てくるわ。これ、ゲイリーとコリン様、それにシャーロックのベネディクト君も出てるのよ」とメールをくれ、え、私も観たい~と思ったら、こちらではとっくの昔に上映済だったんでした(泣)

    ガッカリしながらも感想を聞いてみたところ、「ちょっとわかりにくい映画」とのこと。(映像的にもあまり説明がないらしい)

    彼女がわかりにくいんじゃ自分なんかDVD鑑賞しても意味不明だワ、というわけで原作から攻めることにしたのですけど。(DVDが出るのが11月?待ってられない!というのもあった)



    いやぁ、夢中になって読みました。面白かった。

    この余韻をどうしてくれよう。

    ちょっと読みづらい日本語(なぜだ、母国語なのに)もあったんですけど、終わってしまうのが惜しい小説でした。緻密で、抒情的…





    序文には少々とまどいましたが、のっけのねぇ、ローチ少年がいいんです。

    そして、ジム・プリドーが好きだと思って。スマイリーとギラム、レイコンやマックスもいい。カーラ、コントロールも強烈。

    数多い人物たちを把握するまで、何度か「登場人物一覧」を確認してしまいましたけど、第一部を読み終える頃にはどっぷりはまり込み、同時にこれをどう一本の映画にまとめあげたのかしら?!と興味津々に。

    コニーとスマイリーのシーン、カーラと対峙するスマイリーの表情、情報を盗み出すギラムと本部の面々、それにチェコでのジム…。このあたりはぜひとも映像でどう見せるのか確認したいです。

    どの役もやりがいがあるだろうけど、エスタヘイスなんか役者としたらすごく面白いんじゃないだろうか。ビルは意外に難しそう。フクザツだから。




    小説は、緊張感と物静かな強い意志、信念、破壊、欺瞞、時間の経過と共に、人間的な自嘲、愛情、醜態、不安、慟哭が幾たびか浮かび上がり、沁みる描写も多いです。

    英国の、組織の落日、ある種の高潔さの終焉。哀惜の念。


    「かわいそう。帝国のために訓練して、四海を支配するために訓練して。ぜんぶなくなってしまった。ぜんぶ持って行かれてしまった」

    「なんとか彼を引きとめ、人生をやりなおさせ、できることなら妻といっしょに牧歌的環境で再出発させてやりたい、そう真剣に思った。自由にしてやりたく、冷戦から抜け出させてやりかった。・・・・何を隠そう、ピーター、その晩、冷戦から抜け出そうとしていたのは、ゲルストマンではなくスマイリーだったんだ」

    「だれも助からなかったのか」「みんな銃殺されるまで、どのくらいぶち込まれていたんだ」

    「・・・弱みを隠し、そんなものはないふりをし、年上の大人に働きかけるが、その大人がじつはそんなに大人ではない。やがてある日、なにもかもが一挙に襲いかかり、彼らの英雄は崩れ去る。」

    「あれほどいっておいた保安措置の強化が、一日でゆるんだと知ったのには、腹の虫がおさまらなかった」


    ラストに向かって一気に走り出すも、あえて止まってちょっと時間を置いたりしてしまいました。

    残り100ページ以上残すところで、ラストはこうなるんじゃないか…という予感が一気に高まるんですけど、それが間違いないと確信できちゃうので…。その切なさがたまらんのですよねぇ。

    あそこで飛び道具を使わないのも大いに納得。そうよね、そこは絶対に自分の手で首をへし折らなきゃ。自分以外の者たちを皆殺しにさせた罪を愛する人に償わせるんだから。一発撃って終わりどころじゃないよ。(単純に、静かで確実な暗殺てのもあるだろーけど、それじゃケルトの頃からのブリテン国の流れじゃないし、と思わず夢を見ちゃうこの小説である)


    信じた女に、男に、国に、自分にさえ裏切られながらなお、喜びに満ちた記憶を反芻し、鬱々と苦しみながら見えないふりをして己を捧げてしまうのが人生なのか…。

    「あなたってばかね」。ああ、それでこそ人間だ…(T T) 疲弊しきった彼らが愛おしい。




    男たちはみなそれぞれに魅力があるんですけど、印象的な女性も何名か。

    引退生活からスマイリーを引き戻すきっかけを作ったソ連のイリーナ。

    元調査員のコニー。

    スマイリーの心にいつまでも居座る美貌の妻、アン。

    そして、ギラムが思った以上に翻弄されてしまう音大生?のカミラ。

    (ギラムを演じてるのがベネさんらしいけど、彼ではちょっと若すぎるような。まぁ、映画は映画だからいいんですけど。あ、でも、文中、”ポール・ロブソンばりの低音”でオールマン・リヴァーを歌うギラム、というシーンがあるんで、やっぱり低い声のベネさんがそれをやってくれるの見てみたいな、とも。このシーン、映画ではないかもしれないけど)



    カミラ、いいなあ。作者の心憎い演出もホッと心が温まる。帰ってこないと思ったから。同様に、ジムを見守るローチ少年にも改めてホッとさせられる。素晴らしいエンディング。あの始まりがこうして終わるのだ(T_T)


    カミラのフルートの音色ってどんなだろう…プーランクとか吹いてほしいわ。








    とにかく、スマイリー三部作すべて読まなくちゃ。

    しばらくこの世界から戻りたくなくなった。

    Tinker, Tailor, Soldier, Sailor, Rich man, Poor man, Beggarman, Thief.

    英国だなぁ。どうもこれはマザー・グースらしい。

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