終日暖気

    *大抵ネタバレしてとんちんかんな映画の感想など*

    スポンサーサイト  

    上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
    新しい記事を書く事で広告が消せます。

    category: スポンサー広告

    tb: --   cm: --

    愛と野望のナイル  

    20091026_630259.jpg

    『Mountains of the Moon』
    1989年 アメリカ
    初見。監督は米の方ですけど、主演俳優たちはアイルランドとスコットランドの方だそう。
    えらくロマンティックな美しいお話でした。
    胸をつく余韻が秀逸。

    いい映画だった…(T_T)

    **********************************************************

    舞台は、大英帝国が領土拡大を狙い植民地支配を進めるために
    西欧人にとっての未開の地への探検を推奨している19世紀。
    休暇中のザンビアで探検家リチャード・バートンに出会ったジョン・スピーク少尉は、
    バートン率いる王立地理協会の調査隊に参加、
    共にナイルの水源を求めてアフリカ4700キロをゆく壮大な冒険に出ることになる。
    砂漠地帯の熱砂。乾き。飢餓感。伝染病。襲撃。脱走。怪我…
    次々に襲いかかる試練と、容赦のないアフリカの気候。
    厳しいが美しく偉大なる自然、異民族との交流。
    固く結ばれていく様々な人間との信頼関係、友愛、慈愛、献身
    しかし、想像を絶する過酷な旅と、彼らの情熱とは乖離した故国の人々のさまざまな政治的思惑が
    二人の信頼関係に深い影を落としていく…


    隊長のバートン(パトリック・バーギン)、この人はもうとっても魅力的で。
    大人で色気があって情熱的。
    数十の言語を操り、作家業翻訳業もしながらダイナミックに生を堪能している男。
    偏見よりも好奇心と節度と自由な精神が彼を形作っていて、とてもかっこいい!
    それぞれの土地の文化に深い探求心を持ち、
    郷に入っては郷に従えで柔軟にとけこみながらそれを味わうのが好きな人間。
    おかげで視野が広く理性的、情が濃く柔軟で男らしい。
    女好きだけど、友情にも篤い、包容力のあるチャーミングな好男子。
    彼は二度の遠征の合間に、これまた風変わりで型にとらわれない好奇心旺盛な女性と
    真剣な恋におちるんですけど、わかるわぁ。私もすぐバートンに惚れちゃったもん。
    ひげのおっさんですけど、すごく素敵なのです。

    対する17才で軍に入って以来家には戻っていないというスピーク(イアン・グレン)。
    こちらはまだ若くて出身は貴族階級なのかしら、しかし家督は長男が継いでいるために
    拘束されない分、自分の居場所がもう実家にはないであろうという青年。
    男前だけれど女には興味がなく、それよりも情熱をかけて何かやり遂げたいと切望している感じ。
    銃の扱いはうまいけれど、文章を書いたり緻密な計算などは好きではないらしい。
    他民族の生活を知ることよりも、とにかく早くナイルの源流を見つけたくて仕方ないという、
    精神的余裕や落ち着きなどとはまだ無縁の直情的な男。
    その分、気性は純朴で人を信じやすくとてもナイーブで無鉄砲なのでハラハラしてしまう。
    悪意を秘めた人間が寄ってきても子供みたいに無邪気に受け入れてしまうし、
    肝心な時の行動が不器用すぎて、心配のあまり私の気分はすっかりばあやだった。


    そんな対照的な二人の男が、同じ目的に向かって時には命の危険にさらされながら、
    アフリカの過酷な旅の中で互いを守りながら信頼と友情を深めていく…
    故国を離れた彼らを駆り立てているのは、
    野心といっても名誉欲出世欲といったものとはある種対極にある、
    人間の中にある説明のつかない衝動のようなもの。
    しかし、いくつかの不運が重なり、わかちあうべきものを共にわかちあえなかったことから
    二人のあいだに小さな溝ができてしまう。
    気まずさを抱えたままやむにやまれぬ事情からバラバラに帰国せざるを得ない男たち。
    やがて人々の政治的エゴが渦巻く蛇のような思惑が二人のあいだの溝を決定的に広げてしまい、
    思いもよらぬ悲劇が彼らを襲うことになる…


    ラスト、その一瞬誰も立ち入ることはできない二人だけの世界になるんだけれども、
    しかしその時片割れはすでにこの世には存在せず時間も決して元には戻らないという
    せつなくやるせない、しかしながら地味渋で詩情あふれる終わり方でした。
    うまいなぁ。文学です文学。

    自分をどうしても許せず、何も言わず誤解を解かぬまま独り死を選ぶスピークが悲しくて
    ばあや気分の私はつらかった。
    バートンの奥さんの一言が決定的だったのかしら。良かれと思っての一言が。
    ずっとディックと呼んでいたのに、最後はためらいながらしぼりだすように
    「バートン」としか言えなかったスピーク。
    生死をかけた旅の中で今まで知らなかった使命感と充実感を味わい、
    兄であり(ほとんど父のようにもみえる)同士でもあるバートンとの深い友愛のなかで生きる喜びのようなものを感じていた彼は、バートンに憧れ、尊敬し、彼のために全身全霊をかけていたんですけど。
    奥さんに負けないくらいにバートンを慕い、愛してたんですけど。


    当時は” 愛と~の~”系の邦題が多かったですよね。
    こういう人間同士の言葉にならない、言葉にしようにもできない、という
    複雑怪奇な感情のぶつかり合い、はっきりとは見えない深遠な愛憎劇って好き好き。
    面白かったです。
    スポンサーサイト

    category: 映画感想

    tb: --   cm: 0

    プロフィール

    最新記事

    最新コメント

    月別アーカイブ

    カテゴリ

    上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。