終日暖気

    *大抵ネタバレしてとんちんかんな映画の感想など*

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    視線のエロス  

    視線のエロス
    『LA FEMME DEFENDUE』
    1997年 フランス


    初見。
    なんだかB級ポルノかしらん?というような変てこな邦題ですが、面白かったです。
    興味本位の、くだらない安っぽい無駄なシーン等一切なしでした。
    頭だけでしてるような恋愛映画というのでもなし。
    ま、39歳の妻子持ちフランソワ(フィリップ・アレル)と、
    22歳の独身女性ミュリエル(イザベル・カレ・・「クリクリのいた夏」のマリー!)の恋愛なんですけれども。
    といって、くだらん!というわけでもない、なかなか真面目な映画でした。

    カメラの視線が、そのままフランソワの視線になっていて、
    お話は二人の会話だけで進むという面白い形。
    男の視線が女を追っているとはいえ、下品ないやらしさなども感じられず。
    女の手を見ている視線など、愛おしさが伝わってくるようだったし。

    彼女はごく真っ当な女の子なのだけど、どうしようもなく惹かれてしまったのよねえ・・男に。
    自分が奥さんの立場なら絶対に不倫なんて嫌であるし許されない・・と思っていたのに、
    罪悪感が次第に恋愛感情に負けてしまうんですねえ。
    惹かれてしまうと、やっぱりこうなってしまうものなのでは。

    男女の気持ちがやけにリアルで、いっそ笑ってしまうほどでした。
    身勝手なズルさもずうずうしさもしたたかさも可愛げも。

    もっとも、家族、特に自分の子供をその程度にしか愛していないような男には
    私は全く興味が持てないけれど。(フランソワ、あほーあほー)
    女の集中力はすごいけど、
    それを保つにためには人それぞれ生理的な線引き、モラルの線引きがありますものねえ。

    ミュリエルの気持ちの動き、行動など全然違和感がなかったのですけど、
    脚本が男というのはどういうことだろう(笑)
    脚本:フィリップ・アレル(兼監督)とエリック・アスス(ぼくセザール 10歳半 1m39cm )
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    category: 映画感想

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    ネリーとムッシュ・アルノー  


    『NELLY & MONSIEUR ARNAUD』(邦題:とまどい)
    1995年 フランス・イタリア・ドイツ
    うわぁ、なんて素晴らしいんでしょう。

    今年見た中で一番好きだわ。
    こんな作品に出会えると、じわじわーっと深い幸せを感じるなあ。
    生きてて良かった・・という、あの幸福感。
    実にしっくり、ぴったりくる大好きな作品。


    素晴らしいエマニュエル・ベアール。
    素晴らしいミシェル・セロー。
    素晴らしいジャン=ピエール・ロリに、
    素晴らしいジャン=ユーグ・アングラード。
    クレア・ナデューにフランソワーズ・ブリオンにシャルル・ベルリング…
    出てくる役者出てくる役者、全員が完璧でした。

    このトーン。
    この人間同士の機微。
    この”間”。
    この台詞まわしと眼差し。
    一瞬予期せぬ涙がふきだすシーンがあったなあ…

    ラストまで見事でした。

    素敵な映画は、脚本も演出も俳優もすべてが素晴らしい。
    無駄がない。
    美しい。
    登場人物たちがとても愛おしい。

    大好きな『夕なぎ(セザールとロザリー)』(72年)のクロード・ソーテ監督作品。


    忙しいこの夏ですけど、
    この作品に出会えたよろこびでもう十分だわ。

    (ほんとかな>笑)

    category: 映画感想

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    アリスとマルタン  



    『ALICE ET MARTIN』
    1998年 フランス
    初見。『海辺のホテルにて』、『かげろう』のテシネ監督作品。
    マチュー・アマルリックとビノシュが共演で、
    ジャン=ピエール・ロリも出てるというので借りました。

    途中から、あれ?いまひとつ私向きではないかな?と思い始めたのですけど、
    終盤にはぐっと惹きつけられ、観賞後は これは好きだ!と感じた作品。


    ビノシュは決してスレンダー美女ではないけれど、
    まさにそのそうではないという部分、その存在こそが実にこの映画にぴったりでした。
    彼女の演じるアリスは、邦題(溺れゆく女)から受けるある種のイメージとは異なる、
    非常に柔軟で何か新しい魅力という感じのする不思議なちからにあふれた人間でした。
    彼女のは、母性愛とかそういうのともまた違うと思うな。強いて言うなら人間愛、か。

    アリス以外の人間は、音楽仲間も親友も愛人(映画のなかでそういうふうに言ってたので)
    も、その血族もみなみなどこか不安定。頑迷さは子供のよう。
    現状に文句を言うか、眼をそむけるか、己の世界観から抜け出すことがないエゴイスト。
    同時にアリスに大変に依存していると思う。
    無垢なままの少年といっていい愛人マルタンの依存の仕方とは全然違う、大人の依存。

    しかし、アリスはそんな彼らの前で別に激昂するでもなくありのままを見据え、
    疲れても立ち止まることなく、煙草をふかし、ビールを飲み、
    実に率直に自分の言葉を伝え、ごく自然にすべてを受け入れているように見える。
    頑なさがないのよね。常に前を見るし、行動するし。
    彼女の根っこにあるのは素晴らしい善ではないかしら。(善意ではない)
    いずれにしても素敵な主人公。


    お目当てのマチュー・アマルリックは、
    ビノシュ演じるバイオリニストとパリで同居する、ゲイの売れない役者という役どころ。
    リチャード三世のような台詞を言うシーンが面白かったわ。(怪人てことは・・?)
    うーん、私はマチュー・アマルリックの顔が好きなのかも。
    いつ見てもすごく色っぽい眼!
    それにキレキレな危うさが重たくないのよね~。演技派演技派していなくて。
    映画のなかで使われていた実際のアマルリックの少年時代?の写真の魅力的なこと♪

    ほんの少しの出番のジャン=ピエール・ロリは、アマルリックの兄で官僚タイプの役。
    ビノシュに喧嘩を売るシーンでは、勝手にハラハラしちゃったわ(笑)
    わりとこの人の声が好きだなあ。声のせいで冷淡な感じが薄れていました。



    category: 映画感想

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    ドライ・クリーニング  


    『NETTOYAGE A SEC』
    1999年 フランス・スペイン

















    初見。
    これまた面白い作品!!

    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

    スイスに近いらしい田舎町のクリーニング屋さんの夫婦ジャン=マリーとニコル。
    二人が真面目に切り盛りする店は、腕がいいと評判でとても忙しそう。
    可愛いらしい息子の面倒は同居する夫の母がよく見てくれている。
    ある晩、寄り合いのあと商店主たちとお酒を飲みながらちょっとしたショーを見た二人。
    翌日、いつも通り忙しくしている店へ「ワインのしみを取ってほしい」と
    ステージ衣装を持って現れたのが、化粧を落とした昨日のショーの青年。
    この青年が平凡な夫婦の生活に少しずつ入り込んでくることから始まる奇妙な三角関係…

    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

    なんでしょう、とにかく夫婦の心をかき乱す青年がなんともいえぬ色っぽさを持つ
    若くてきれいな人なのです。

    夫婦が初めて彼を見たステージ。
    若い男女が同じ格好をして、
    女同士という設定でエロティックな絡みを見せる非日常的な光景。
    日々追われるような現実生活を一瞬すべて忘れてしまうような淫靡なパッション。
    平凡なごく普通の夫婦は思わずポ~ッと酔いしれてしまうんですよね。

    で、翌日衣装を持って夫婦の前に現実として現れた青年は、
    女装美人の時とはまた全然違う透明感のある色気を漂わせているのです。
    彼には思わず見入ってしまうなにかがあって、誰だってこんな青年が家に入り込んできたら
    おかしな気持ちになるんじゃない?という感じ。

    そして、そんな彼と知り合いになってからの
    夫婦の行動の裏にあるそれぞれの揺れ動く心理というのかなぁ、
    そういうものがいろいろと感じられるのがとても面白いのです。
    はっきりと説明できない感情を、実に雄弁かつ官能的に見せてくれるので。

    「他人の汚れものを洗うのはもういやなの!」
    という妻。
    彼女は青年とセックスして自分のなかの女を思い出し、彼に溺れ、また、
    恋に落ちた夫と結婚するために何もかも捨てて遠い街からやってきて10年以上経つのに、
    いまだに(たぶん永遠に)「よそ者」であり続けなければならない田舎町での
    平凡で多忙極まりない現実生活というやつに、
    ほとほと嫌気がさしていることに気づいてしまうのです。
    嫌だと一旦思ったら、本当にもう何もかもがたまらない気分になってしまうのよね。

    さらにこの映画の面白いのは夫の心理。
    私、生真面目な旦那さんがどうしようもなく美しい人に惹かれてしまいながら、
    そんな今まで経験したことのないわけのわからない自分の気持ちに慌ててしまって、
    一生懸命にそれを否定して、でもやっぱり浮き足立って離れたくなくてイライラし、
    ドキドキしつつ、そんな馬鹿な!とパニックに陥っていく様子がすごく面白かったなあ。

    青年がまた、生い立ちのせいなのか、愛情に対してとても貪欲でちょっとunmoral…
    だから自分に正直に行動すると周囲がたぶん混乱に陥ってしまうのよね。
    でも困らせるつもりはまったくないのがコワイ、というタイプ。
    旦那さんに「あなたはいい人だ。あなたと寝たい」なんて大真面目に迫ったりするんだもん。
    せっかく器用で仕事覚えも早いのに、ちょっと可哀そうな男の子でもある…
    迫られて大混乱に陥る真面目な旦那さんもすごく気の毒だけれど。


    ラストの妻の行動、ものすごく説得力がある…と言ってしまうと問題だけれど(笑)、
    でも、女はこうするね!というそれはもう大いに納得。違和感なしなのです。
    お仕事済んでの妻の堂々としたクールな顔つきを見よ!怖いものなど何一つなさそうだ!
    このときの、次第に夫の腕に寄り添うような、腕をいまにも絡めそうな、
    強まった夫婦愛の漂わせかたにもニヤリとさせられました。


    脚本演出とともに、やっぱりこの夫婦を演じた
    ミュウ=ミュウとシャルル・ベルリングがうまい!!
    シャルル・ベルリングって、つい先日見たばかりの『趣味の問題』で
    ムッシュ・ジロドーのお抱え料理人兼栄養士係をしてた俳優さん!
    この時、ジャン=ピエール・レオーの刑事さんに
    「あなたわかってます?毒殺の共犯になるんですよ!?」
    と言われて一瞬見せる、人を喰ったような眼差しがすごく良かったのよね(笑)
    それと不思議な雰囲気を醸し出す美青年を演じるスタニスラス・メラール。
    退廃的なドロドロの色気ではなくて、爽やかなのが不思議なのです。微笑むとあでやかで。
    この大事な3人のキャスティングが完璧でした。

    category: 映画感想

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    再読 チボー家の人々  

    20090716_598913.jpg

    「またチボー?」と子に呆れられるほど、ご飯を作りながらとか、みんなが朝食を食べてるあいだとか、
    出勤前とか、掃除の手を止めてこっそりとか、暇(笑)を見つけてはちょこちょこ読んでいます。

    20年以上経ってしまったし、もう昔のようには楽しめないのでは…なんて思ったのですけど、なんのなんの。
    どんどん進みます。あっという間です。
    やっぱりこの作品はものすごく面白い!!

    古本屋さんで頼んだのが届いたので、まずは「灰色のノート」と「少年園」を読了。
    あぁ、こんなだったっけなぁそういえば…なんて思い出しつつ、緻密な心理描写、人間描写にあらためて唸っています。
    訳が本当に素晴らしいのだと思うわ。

    たとえば、読了した中でなら十代のナイーブで頭でっかちで清廉で逼迫しているかのような感情の高まり。
    胸のうちで常にわきだしてくる叫びだしたいような焦燥、反発、不信。
    永遠に失われた無垢、新たに持ちえた意思。芽生え始める社会意識、自分と世間との距離感。異性というもの…

    仰々しさのない自然な心の動きの描写にすっと惹きこまれてしまいます。
    これは、登場人物たちの性別や年齢や立場に関係なく、
    長い物語の最後の最後までひじょうにニュートラルな感覚で常に鋭かったはず。
    だからこちら側も客観的にあらゆる人物に寄り添っていくつもの視点を持つことができる。


    昔好きだった登場人物の魅力がわからなくなっていたら悲しいなー、という心配もまったく無用でした。
    読み始めてすぐ自分がどこでアントワーヌが好きになったか思い出しちゃった(笑)
    私もジャックみたいにアントワーヌに迎えにきてもらいたいと切望したんだわ。
    そしてすぐに兄貴に対するあこがれを飛び越えて、こんな男が好きと思った。
    ジャックより9歳年上のアントワーヌ。彼は、仕事(小児科医)がとても好きで、実際仕事に向いていて研究熱心、
    腕がよく野心があり、自信に満ちていて意志がとても強い。
    現実的だけどなかなかロマンティスト、ある意味エゴイスト、
    安楽死、尊厳死の問題など内心で悩み不安を覚えることがあっても決して表には出さず、
    わりに尊大だし、いつも正しい人間というわけでもないけれど、でも、とても魅力的だった。

    今読み始めた「美しい季節」では、恋をしている男の意外なほどの可愛らしさがよく出ていて面白い。
    私、恋にやぶれて思わず泣き崩れる男性というのを見たのって(読んだんだけど)
    チボー家が初めてだったんじゃなかったかなあ。

    青春小説のような感じで始まるけれど、
    社会と人間を見つめる冷徹な眼差しはエピローグでその精神が昇華されるまで終始一貫崩れることがない。
    そして常に魂の誠実さ、精神の美しさが感じられるというのも素晴らしいです。

    社会というもの、人間というもの、人の一生、生き方、死に方についてなど、
    意見の一致を見、互いに心からの信頼と友情を確認するということをついに果たせぬまま、
    戦争によって永遠にその機会を奪われてしまう兄弟。
    軍医として戦場に赴き毒ガスにやられたアントワーヌは、最期まで自分の病状を医師らしく克明に分析し、
    孤独と苦しみの中で心乱れながらも冷静に、そしてかなり率直に日記をしるし、
    深い思索のすべてを弟の遺した幼い甥っ子に託そうとする…

    私、当時、アントワーヌと一番話が合う!くらいに思っていたのじゃないかしら。
    本当に理解しているかどうかは怪しいとしても、やっぱり熱くなり夢中になり感銘を受け、
    あれこれ考え思い悩むという読書経験はいいものでしたわ。

    そして、若いときって心おきなく没頭できるまとまった長い長い時間があったんだなーと。
    ま、今も無理やり捻出しちゃいますけれども。
    子もいつかそんな本に出合えればいいと思います。
    で、私は続き続き♪

    category: その他の感想

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    チボー家の人々  

    20数年ぶりに手にとりました。
    中3だったか高1だったかの夏休みに一度読んだきり。それ以来。
    文学全集とは違う棚に並んでいた箱入りの本。
    隣には「キリマンジャロの雪」と「アウトサイダー」が並んでいたっけ。(未読のまま)
    そうそう、その横には「怪僧ラスプーチン」なんてのもあった!(これは張りきって読んだ)

    20090709_597189.jpg


    開いた時の本の匂いと夏の暑さと素足に感じた廊下のひんやり感、あ、ガリガリ君グレープフルーツ味も思い出すなあ(笑)
    そんなどうでもいい記憶と読後の満足感、それ以外はきれいさっぱり忘れてしまっていた「チボー家」。
    懐かしいこの本、書店でチラっと立ち読みしてみたのですが。

    いやいやいや、なんといったらいいのか、とにかく、忘れているけれど忘れていない何かが、ぱあっとよみがえりました。
    そうだった、そうだった。
    ”美しい季節”で、アントワーヌが激しい恋におちたのはアフリカ帰りのラシェルだわ。
    彼らの恋の顛末に私はじーんとなったんだった。(うまくいっていたのに女が突然去るのだ)
    チボー家を支配している兄弟の父。さまざまな女たち、男たち。
    精力的に働く若き小児科医のアントワーヌと、学校に優秀な成績で合格したのに入学を辞めて自分の道をゆくために家を出るジャック。
    時代はやがて第一次世界大戦へと突入する前夜へ…
    彼らが再会して長いこと話し合う”1914年夏”はとても面白く読み応えがあり、さらに考え込んでしまう部分が多くて兄弟と一緒に悩んだなあ…
    決して完璧ではない兄弟だからこそ、(しかし精神は美しい)あんなに感情移入できたんだわ…
    本の持ち主である母は、「学生時代夢中で読んだわ~。ジャックが大好きだった」とよく言っていましたが、私はずっと長兄のアントワーヌが好きだった…
    今すべてを読み返したら、10代のころとはまったく違う視点でもっと深く読むことができるのだろーか。(無理かもー)

    うーん、古本屋さんで探してみなくっちゃ。

    category: その他の感想

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